鍼灸治療について
鍼灸治療
鍼灸治療とは、『西洋医学(現代医学)』とは違った観点から身体を診ていく『東洋医学』を基礎とした、経穴(ツボ)と呼ばれる場所に鍼を刺したりお灸をすえる事で、人間が元々持っている力(自然治癒力等)を高めたり抑えたりしてバランスを保つ事により、治癒の方向へと導くと同時に、血液循環をも促進させる身体にも優しい治療法です。
また、現代の西洋医学でも、あまり効果の期待できない慢性的な痛みや痺れ等に対しても鍼灸療法は特に効果的であり、その良さが見直され、現代医学と併用して、鍼灸療法を扱う病院も増えてきています。
鍼灸治療って何が出来るの?
そもそも、『鍼灸治療』とはどういう事が出来るのかを知っている方は少ないと思います。ほとんどの方は『鍼灸治療』とは、肩こりや腰痛等に使われているもの・・・という認識なのではないかなと思います。
しかし、実際はその用途と云うのは実に幅広いのです。
何故なら、『鍼灸治療』に於いての1番大きな目的というか、考え方というのは『自己治癒能力(自己回復力)』の活性・促進です。
本来その人が持っている能力を強くしたり抑えたりするわけですから、『コリ』や『疲労』だけではなく、様々な病気などの病名が付いている疾患の治療にも適応しているのです。
※WHO(世界保健機構)に認定されている『鍼灸治療』の適応症は下方にあります。
私自身は、その症状やその方の体調にもよりますが、安易に薬を飲むよりも身体に良いと思っています。また、色々な疾患の治療だけではなく、『体質改善』や『美容』方面、なかなか子宝に恵まれない『不妊症』に悩まれている方や『妊婦さん』。
また小さなお子さん(夜泣きや疳の虫等)にもかなり効果が高いという事が認められております。
WHO(世界保健機構)で認定されている適応症状
整形外科領域 |
腰痛,ギックリ腰 , 腰椎(椎間板ヘルニア,すべり症,分離症 等) 肩コリ,五十肩(四十肩,肩関節周囲炎), 膝痛(膝関節痛,変形性膝関節症), 肘痛(テニス肘,ゴルフ肘), 腱鞘炎,寝違い,ムチウチ(頸椎捻挫),頸椎症 等 |
神経ブロック・麻酔科領域 |
坐骨神経痛,頭痛,頚肩腕症候群,肋間神経痛, 顔面神経麻痺,三叉神経痛,難治性疼痛 等 |
婦人科領域 |
更年期障害,月経前症候群(PMS),月経異常, 不妊症,冷え性,骨盤位(逆子) 等 |
心療内科領域 | うつ病,パニック障害,不眠,自律神経失調症 等 |
内科領域 | 糖尿病,過敏性腸症候群,膀胱炎 等 |
循環器領域 | 高血圧,低血圧,静脈瘤 等 |
自己免疫・アレルギー科領域 |
膠原病,喘息,アレルギー性鼻炎(花粉症), リウマチ,クローン病,潰瘍性大腸炎 等 |
耳鼻咽喉科領域 |
メニエル病(メニエル症候群),耳鳴り,めまい, 難聴(突発性難聴),副鼻腔炎(蓄膿症) 等 |
リハビリ科領域 | 脳血管障害(脳卒中,脳梗塞,脳溢血)後遺症 等 |
その他 |
眼精疲労(疲れ目),慢性疲労症候群, パーキンソン病(パーキンソン症候群),ガングリオン, 疳の虫 等 |
鍼治療について
鍼治療で使う『ハリ』の長さや太さは症状や患者さんによっても変わってきますが、一般的に使われているのは長さ 3~5cm
太さ 0.16~0.24㎜程度
のもので、思っていたよりも『細い』と言う方がほとんどです。(どうしても注射針や縫い針を想像される方が多いですものね 笑)
熟練した鍼灸師であれば、刺したときの痛みというのはほとんどないです。(ただし皮膚には痛みを感じる点=痛点があり、ごくまれにチクッとすることもありますが注射ほどではないですから安心してください 笑)
また、ハリを刺していったときにズーンと重くなるような感覚が生じることもありますが、これはハリ治療独特の『ヒビキ(得気)』というもので、身体にとっては悪い影響を及ぼすものではなく、むしろ良い刺激でその『ヒビキ』があったほうがよく効くともいわれています。
あと、治療後に身体がだるくなることがあったりしますが、これは一時的なものでじきに消失しますので心配はないですよ。ところでハリ治療というと肩こり、腰痛といった整形外科で見てもらうような症状に向いていると思われがちですが、カバーする範囲は実はとても広いんです。
例えば頭痛、風邪、胃腸の病気、下痢・便秘、冷え性、耳鼻科の病気、自律神経失調症等もハリで治していくことが可能なんです。乳・幼児にもハリ治療(この様な小さい子向けに刺さないハリ)は効果があるんですよ。
また、意外と知られていませんが『妊娠中の方』または『なかなか妊娠できない方』にも鍼灸は抜群の効果を出しますよ。不妊治療専門にやっている鍼灸院もあるくらいですから。
灸治療について
お灸治療とは、小さく捻った「もぐさ」を身体のツボの上で燃やして、ツボに温熱刺激を加える治療方法。『お灸は熱くないですか?』と聞かれる事が多いのですが、熱いかどうかといったら、やはり火をつけるのだから多少の熱さはあります。ただし、今現在の施術方法として、もぐさを燃やしつくして熱さを我慢させる施術をする事はまずなく、熱さを感じた時点ですぐさま消し取る施術方法が主流ですので、熱さを感じるのはほんとに一瞬です。
他にも、『温灸』という皮膚に直接火種をつけずに温かさを感じる程度で施術する方法や、もぐさの質やひねり方によって熱さは変わりますので、結論としては「少しは熱いが想像しているほどではない」といったところでしょうか。
なお、お灸のあとが残るのでは?と心配する人もいるでしょうが、上記の方法で施術していれば痕が残ることはまずないので、その点は安心してもらって大丈夫ですよ。